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宅地建物取引主任者

本音を聞きだすのが仕事

揚村 貞貴(あげむら さだたか)

" 人生の岐路をサポートする仕事です "

進学、就職、結婚、出産。人生の大きな節目には引越しを伴うことが多い。人にとって住居は憩いの場であり、娯楽の場であり、休息の場でもある。暮らしの中で大きな比重を占める「部屋」の賃貸契約には、専門の法律知識を学んだプロが対応する。部屋の賃貸のプロ「宅地建物取引主任者」揚村さんに、お話を伺った。

不動産は地域に根付いた資産

揚村さんが不動産業に興味をもったのは高校生の頃。父親が地元で不動産業を営んでいたことから、生活に身近なものとして意識し始めたという。不動産とは、土地や建物のこと。扱う商品は常に地域の中にある。不動産を取り扱うことは、地域の発展に直接繋がるという思いから、「いつかは地元鹿児島で不動産業に携わりたい」という思いをもった。進学先に選んだのは長崎県立大学の経済学部。ビジネスの基礎を学びたいという理由だった。 将来の夢と目的意識を持っての大学生活。当時を振り返り、揚村さんは「よく勉強したと思います。大学3年生の頃からは、大学の勉強だけでなく、就職活動に向けて宅地建物取引主任者の勉強を始めました」と語る。猛勉強が実り、在学中、宅地建物取引主任者試験に合格。就職活動においても鹿児島と福岡で複数の不動産事業者から内定を得た。こうして高校の頃に思い描いていた社会人生活が始まる。

本音を聞きだすことが仕事

不動産選びは人生の一大事。より良い部屋をご案内するために意識することは「どれだけその人のニーズに合うお部屋をご提案できるか」ということ。そのために、営業職の揚村さんは『まずは本音で話をしてもらえる雰囲気をつくる』ことを心がけているという。会社の相談ブースでの対応だけでなく、部屋にご案内する途中の車の中も大切なコミュニケーションの場。「車の中でのお客様の何気ない一言が、とても重要なヒントになることも少なくありません。お客様の発する全てのメッセージに耳をすますことがポイントですね」

不動産は地域に根付いた資産

宅地建物取引主任者としての責任

部屋の賃貸に関する契約は、大きなお金の動く大切な場面。法律に基づいた適切な対応が求められる。揚村さんの所属する本店賃貸営業部・営業二課では、対応するお客様に対して最終的な契約書を交わす場面には、必ず宅地建物取引主任者の資格を持つ揚村さんが立ち会うことになるという。「契約書の文言のひとつひとつに納得していただいた上で、判子を押していただく。身の引き締まる場面です」言葉の端々に人と部屋を繋ぐという立場への責任感が滲む。

お客様のニーズに寄り添うために

主任として3人の部下を率いる揚村さんの仕事は、営業だけにとどまらない。現場の声を経営者に伝え、会社とお客様のより良い関係を考えることも大切な役割だ。お客様の声や反応を見つめる中で、全社的に取り組む新規プロジェクトが生まれることもある。『中には詳細なニーズをスタッフに伝えることに抵抗があるお客様もいる』と感じた揚村さん達の現場の声から生まれたのが、『SELF.R(セルフル)』。コンピューターで会社の持つ多くの物件情報を自由に検索できる仕組みを、カフェのような居心地のよい空間の中で用意した。昨年の秋から始まったこのプロジェクトは、鹿児島市内2箇所の拠点で多くの若者を集めているという。

人生の転機に立ちあえるよろこび

働く中で一番の喜びは、新たな住居が決まり、お客様に鍵をお渡しする瞬間だという。「これから新しい生活が始まるんだ」というお客様のよろこびは、「営業成績や会社の利益とは別の次元で『この仕事をしていてよかった』と思える瞬間です」とのこと。誰しも新しい街に住むことは不安なもの。そんなとき、こんな笑顔が後押ししてくれたらいいなと思わせる、そんな素敵な笑顔がそこにはあった。

お客様のニーズに寄り添うために

取材 2013年2月 No.10 しごとびと