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しごとびとについて

進路を考える十代の若者たちに、誇りをもって今の仕事に取りくむ大人たちの姿や言葉を伝えていきたい。

昔、子どもは働く大人の背中を見て育つと言われたものでした。子どもにとって、働く親や大人の存在は、今よりも身近だったかもしれません。

産業・経済の構造的変化の進展に伴い、職業や働き方は、複雑多岐にわたるようになっており、子どもたちが働くということの実際に触れ、実感する機会が少なくなっているようにも思われます。

選択肢が無数に存在し、漠然としか未来が見えない中で、とりあえず安定を求めて特定の職種に人気が集中する傾向も見られます。そのような若者に「何か夢を持て」と軽々しく強要することもできません。

その一方で「○○という職を目指しています。どんな学校に進学すべきですか。」「○○の仕事は、どんなことをするのですか。」など、具体的な仕事の話になると、私たちの身近にその職種の人がいない限り、若者に生きた言葉をかけてやることができません。

しごとびと表紙世の中にはどんな仕事があって、それにはどんな意義があり、どんな苦労があるのか、そしてそれらの仕事を担っているのは実際にどんな人々なのか。一歩先に社会へ出て働く先輩たちが、その仕事を選択したプロセスや生き様、職業観などを自らの言葉で若者たちに伝える場をつくることが求められている時代だと思います。

このような中、進路を考える若者たちに、誇りをもって今の仕事に取り組む大人たちの姿や言葉を伝えていきたい。またそうすることが、私たちにできる社会貢献であるという思いで、この趣旨に賛同し、取材に応じて下さる方々の協力のもと発刊したのが、フリーペーパー「しごとびと」でした。

しごとびと内容創刊10年目を迎えた現在、鹿児島県下2万7千人の中学・高校生に配布し、総合学習の時間などにおいて進路指導等に活用いただいております。さらに、このウェブ版「しごとびと」と共に県内の中学校や高等学校に社会人を招き、中高生と仕事について語る「リアルしごとびと」を通して、鹿児島ゆかりの魅力的な人々の生き方や職業観をこれまで以上に広くお伝えし、人と仕事、仕事と人をつなぐ情報を提供していきたいと考えます。

進路に悩みながらも、未来を切りひらいてきた先輩たちがすぐ近くにいる。その先輩たちの生の声を聞くことで若者たちが少しでも勇気を持つことがあれば幸いです。

2019年2月 (株)ユナイテッド鹿児島 代表 岩﨑直之