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キャスター

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柳 佐知(やなぎ さち)

1982年 鹿児島市生まれ。
大口明光学園中、大口明光学園高、上智大学文学部フランス文学科(フランス・VICHYへ半年留学)卒業。第2代かごしま親善大使。
フレンズFMで6年間。MBC報道部でニュースレポーターを経て現在、2014年10月からの新番組「かごしま4」にてキャスターを務める。
趣味は、食べ歩き、温泉、旅行、ダイビング、陶芸など。


鹿児島の民放局の中で最も長い歴史を持つMBC(南日本放送)でキャスターを務める柳佐知さんを取材すると聞き、正直ちょっと緊張を覚えた。テレビ画面の向こうの華やかな世界で活躍する人に会うため、ドキドキしながらMBCの玄関に足を踏み入れた。

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自分の目で見て、肌で感じて得たものほど
尊いものはありません。
若いうちに旅をし、
いろいろな世界を体感してください

 

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殻を破って

「いつも取材する側なので、取材されるのは慣れていないんですよ。大丈夫かな〜」と照れたような笑顔で、テレビで見る人が出迎えてくれた。その気さくな語り口に、こちらの緊張もほどけていく。MBCテレビが2014年10月からスタートした自社制作情報番組「かごしま4(よじ)」のMCに抜擢されたのも、飾り気のない(ちょっと天然気味な?)性格が買われてのことらしいことが徐々にわかってきた。
大学卒業後、しばらくして「苦労ばかりかけた両親の結婚40周年記念になればと思って」東京から帰郷し、かごしま親善大使に応募。見事選ばれ、1年間、親善大使を務めた。その活動が縁となって地元ラジオ局から声がかかり、パーソナリティに。「本当は子どもの頃から声にコンプレックスがあったので、人前へ出るのは苦手だったんです」。なぜ、いまテレビに出ているの…? 「中学に入る時、親元から離れ寮生活をしたことが最初の転機。寂しくて同級生と毎日泣いていましたけど、中3で経験したイギリス短期留学は殻を破る大きなきっかけでした」。
先入観から日本人を嫌い、会話もしない韓国人留学生と交流を深めようと、日韓親善パーティーを企画し、交友関係を結んだことがあった。そんな経験から、とくに海外では、自分から話しかけ、アクションを起こすことが大事なことを肌で感じた。その後アルバイトをしては海外を旅した。「若いうちは、借金してでも旅をしてほしいと思います。自分の目で見て、肌で感じたものほど尊いものはありません」

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流れに乗ってみた

ラジオパーソナリティを務めるうちにリスナーから「元気をもらった」といった声が届き、声にコンプレックスがあり自分に自信を持てなかった私でも社会で役に立てるんだと知り、自信に繋がった。今度はテレビの世界から声がかかった。「正直、テレビの世界は怖かったけど、やってみないと分からない、可能性を自分で制限せず、周りの人から勧められる波に乗ってみようかな、せっかく声がかかったのだから」とテレビの仕事に挑戦した。
ラジオもテレビも同じマスコミなのでは?「それが、ラジオとテレビでは真逆なんです」。ラジオは声のみで伝える。比較的与えられた時間もゆっくりで、間を取り語るように、リスナーがイメージしやすいように状況を具体的に伝えることに心を砕いていたが、テレビは映像で伝える部分が大きく、限られた短い時間内に映像に映っている以外のところも語らなくてはならないのだ。「例えば…ラジオでは、桜島にオレンジ色の朝陽が上りました、と伝えますが、同じ情景の場合、テレビだと伝えなければならないのは、映らない部分。例えば空気が冷たい、とか風が暖かいなど。『肌感覚』を伝えることが私たちの役割なのかもしれません。今はラジオとテレビの魅力両方を感じています」。

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置かれた場所で咲こうと決めた時、
大きな舞台に立つ
決心がつきました

 

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頑張る人の背中を押す存在でありたい

最初、報道番組に携わったとき、わずか1分ほどのニュースであってもインタビューに答える人、カメラマン、音声、スーパー(字幕)を作る人、ニュースを伝える人などなど、大勢の人が関わっていることに驚いたという。「1分間に、多くの人の力と時間とが凝縮されているんだなって。そして、言葉ひとつひとつに大きな責任があることも痛感しました」。
現在MCを務める『かごしま4』の話をうけた時は、さすがの柳さんも、あまりの大役に押しつぶされそうな気分で悶々と過ごしたという。「MBCが社運をかけて作る自社制作番組だと聞いていて他人事だと思っていたので、まさか自分にお話が来るとは思わず…」断るか引き受けるかで悩みに悩んだとか。そんな柳さんの背中を押したのは『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬社刊 渡辺和子著)という本。「友達もちょうど同じことを言ってくれて。私が今置かれているのはこの場所なんだから、ここで頑張ろうかなってようやく思えたんです」
番組は、鹿児島県内各地の季節の情報や旬な話題をタイムリーに伝える情報番組。「私は喋りのプロでもないし、技術もまだまだ。先輩に頼りっぱなしです。けれども、大好きな鹿児島の良さをもっともっと発掘して、伝えていきたいという思いがあるんです。とくに、その道で一生懸命頑張っている人に出会うのが嬉しいんです。そういう人の背中を押してあげる存在でありたいと」。華やかなだけではなく、その裏でひたむきに仕事にまい進する柳さん。最初の緊張感はどこへやら。素敵な「しごとびと」のファンになってMBCを後にした。

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取材:2016年2月