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弁護士

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上山 幸正(うえやま ゆきまさ)

1963年生まれ 串良中学校、鹿屋高校、中央大学法学部卒業。名古屋での司法修習生、高山法律事務所(愛知県)、照国総合法律事務所(鹿児島県)勤務を経て、37歳で独立開業。

" 誰かの「もうどうしようもない」
という窮地から始まる仕事です "

プロフェッショナルという言葉の語源は「プロフェッション」というラテン語。もとは「医者、神職、および法律家」を指し「天職・聖職」を意味する言葉である。つまり、法律家は近世ヨーロッパにおいて、一般の職人や商人とは違う倫理観が求められる職業として認識されていたのだ。なお、弁護士法一条にも「弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と規定されている。

弁護士の上山幸正さんは、弁護士という仕事の魅力について、次のように語ってくれた。「やはり困っている人を助けられる仕事であるというのが一番の魅力です。ご本人が『もうどうしようもない』と思っている案件でも、こちらのサポートでその苦痛を取り除いたり、緩和することができる。中には事件解決後何年もお礼の挨拶にお越しくださる方がいらっしゃいます。そんな時、この仕事をやっていてよかったと強く思います」

7年間の浪人生活

7年間の浪人生活

弁護士になるための試験「司法試験」は日本屈指の難関である。上山さんは大学卒業後、実家からの支援を受けつつ家庭教師のアルバイトをしながら受験を続けた。大学卒業後3年目のチャレンジのとき、今年こそはという手ごたえを掴んで勉強に励んでいた年の受験直前にA型肝炎を発症。40日の入院を余儀なくされる。「上手くいかないときはうまくいかないものだ」上山さんはこのときの体験で、受験についての気持ちが切り替わったという。そしてその4年後、ついに念願の合格を果たす。

資格をとってから求められること

制度改革によって、弁護士の数は増加している。これからは弁護士資格があるだけで仕事がとれるとは限らないという話もある。上山さんはこの点についてこう語ってくれた。「弁護士の仕事は依頼者(お客様)があって成立するものですから、その分野、その地域に、お客様からのニーズがあることが大前提です。たとえば東京や大阪などの都市圏では弁護士間の競争の中でお客様に選ばれるために、それぞれが専門分野での対応力を磨いていくことが求められていくことになるでしょう。特許に関する業務や、企業間の国際取引に関する業務などは、これから専門スキルとして都市部の弁護士が差別化を図る上で重要な領域になってきます。一方、地方都市では大企業の数も限られますし、弁護士の数も比較的少ないため、一人で多様な業務に幅広く対応できることが大切になってくると思います。どちらの場合にも、まず大切なのはお客様のニーズを汲み取り、事件をきっちり解決に結び付けること。そのためにはコミュニケーション能力や、いわゆる社会常識、お客様の感情の機微に触れる感性なども必須だと思いますね」法律知識だけでなく、これからの弁護士にはコミュニケーション能力や視野の広さをはじめとした様々な能力、いわば、総体としての「人間力」が求められるという。

経験した困難の中で、多様な力「人間力」を身につける

「私は、司法試験合格に7年という長い期間を要しました。合格してから気づいたことですが、どんな試験にも出題者と採点者がいます。そして、試験とは出題者の意図、採点者の考えへの適応力を試すものであるということです。ある課題についての理解や実力があるからといって、試験で好成績を収められるとは限りません。また、仕事との関係で言うと、資格試験でいい成績を収めることと、実際の仕事における能力は必ずしも比例しないと思います。試験で成績上位でなくても仕事では十分に能力を発揮する人はたくさんいます。仕事をうまくこなすには、学力や知識よりも経験に基づいた人生観や人とのつながりが重要だったりします。この春、希望の進路に進めなかった人も、決して、悲観することはありません。まず、今の状況を自分の頭で考えて、周囲の人(友達、親、先生)とじっくり話し合ってみてはどうでしょうか。あなたの人間力を高めることは、今後のあなた自身の人生を切り開く力につながると思います」

経験した困難の中で、多様な力「人間力」を身につける

取材 2013年2月 No.10 しごとびと