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特産品店経営

地元のお客様へ

武田 清孝(たけだ きよたか)

地元の人に愛されている特産品を広めたい!


鹿児島市の天文館にある「天神ぴらも〜る」で、しばらくの間閉店していた特産品のお店「ゆめりあ」を復活させた人がいると聞き、なんとか話しを聞かせてもらえないかと人づてで紹介してもらいオーナーの武田さんを訪ねた。

 

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商工会の職員として

武田さんの前職は、商工会(鹿児島県商工会連合会)の職員。会員の企業や団体を対象とした、金融のあっせん、税務申告相談、商品開拓やその販路拡大といったことに関する経営指導員として働いていた。
「時には、支援先の資金繰りのためその会社の税理士や金融機関の方々と協力して事業継続のお手伝いなど、27年間勤めましたが、本当にいろいろ勉強させてもらえました」
40歳になったころ中小企業大学校の東京校に1年間通わせてもらったこともあったという。
「同期生は全国から集った人たち。金融機関の人たちが多かったですね。寮生活で大変でしたが公私ともに充実した1年間でした」
そのおかげで中小企業診断士という資格を取得させてもらい、企業の事業計画書作りや企業診断など仕事の幅も広がった。

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特産品の店

新幹線が開業する前、鹿児島市の空き店舗事業の補助金制度が開設されたのを機に、谷山の商工会が天文館に鹿児島各地の特産品を販売する事業をはじめた。その企画提案の中心にいたのが武田さんだ。
「会員の方々がせっかくいいものをつくっても販路に困っているのは常に感じていました。何とか役に立ちたくて」
組織にものごとを決めてもらうのは大変なことだ。それは自分の属する組織でも同じこと。出店に関しても、「なぜ天文館なのか?」とか「収支は本当に大丈夫なのか?」などといった実際にやってみなければわからないことに答えをつけて丁寧に説明し、多くの人たちを説得しなければならなかった。そして、やっと武田さんたちを中心とした職員の努力で『まちの駅ゆめりあ』が開店することとなる。
しかしながら、現実は厳しく2年目は国のアンテナショップ事業の補助金を活用して続けられたが、その期限が終わるのにあわせて閉店を余儀なくされる。

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自力で復活させる

閉店後、近くに住む街の人たちから、便利に買い物する場所が無くなったと惜しむ声があったという。
「付き合いのあった野菜や食品の加工品をつくっている人たちからも残念がられました」
結果として、自分を信頼して期待してくれている人たちを裏切ることになったのか・・・言葉として聞けはしなかったが武田さんは感じていたのかもしれない。
そこで、武田さんは行動を起こす。勤めていた商工会を辞め、自力で復活させるために動き出したのだ。そして2016年6月、『まちの駅ゆめりあ』が武田さんの店として開店した。店のオープン前だけでなく、オープンしてからも新聞記事として取り上げられたという。商工会での仕事を通して、個人的にも多くの人たちの信頼を得ていたのだろう。
特産品というと観光客を意識してつくられ販売されることが多いが、
「今度は同じ特産品扱うにしても、地元のお客様を意識しています!」
と、武田さんは言い切る。
普段食べられるもの、日用品として使えることを意識して仕入れているという。開店以降、格段に睡眠時間が減ったそうだが、
「例えば、最中(もなか)。古くからある和菓子屋さんが、それぞれの地元を表現してるんです」
と話す武田さんの表情は生き生きとしている。そして店の目立つ場所にいろいろな地域の最中がたくさん並んでいる。
「毎日お客様がよろこんで買っていってくれる瞬間を直に味わえるのが、最高にうれしい」
これまでと違うやりがいを見つけた武田さん。
お金があればほとんどのものが買える世の中だからこそ、逆に身近にある大切なものを広めようとする武田さんのような人が支持されるのかもしれない。

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取材:2017年2月